東京漢方教育研究センター 2007年度 講座案内

研修認定薬剤師の集合研修に認定されています(3単位)

漢方薬・生薬認定薬剤師の集合研修単位としても利用できます

 

当センターは、1993(平成6)年に結成され、翌年春より講義を開始、今年度は14年目に入ります。講座は、傷寒論、本草学を中心に、漢方の処方や生薬の解説、医療並びに健康関連となっています。

 

各講座について

T.昨年度から50分講義の3コマを設定、諸病源候論の解説、漢方の処方解説、生薬の解説とが、相互に関連した三位一体の構成とし、出来るだけ実用に向けた内容となっています。越智秀一先生の諸病源候論の解説は、漢方の病理学、生理学への原典に基づいた手引きとなります。

越智先生:諸病源候論は、隋の時代に成立した症候別の漢方の病理学書です。漢方関係者が体系的に病理を学ぼうとした場合、絶好の手引きとなる本ですが、残念なことにまだ信頼できる邦訳はありません。そこで本講座では、処方と関連する形で症候のとらえ方を原点に即して学んでいけたらと思います。病名単位ではなく「証」中心でという漢方の考え方の基本の理解を深めます。

U.長沢元夫先生による講義は本講座の中心であり、昨年度から古典「本草学の学び方」をシリーズとして学んでいます。

長沢先生:本草(ホンゾウ)とは漢方医療で用いる薬物についての学問のことで、現在読むことのできる最も古い「本草経集注(ホンゾウキョウシッチュウ)」(陶弘景 500年)の正しい読み方ができるように詳しく解説したいと考えています。わが国の漢方家達は本草書を軽蔑して、神仙流の薬物書であると見做す人が多いのは、陶弘景が道士であるためにそのように編集してあるだけで、科学的な原型を読み取る方法が必要であるのに、その努力を誰もしていないというだけのことです。そのために明代の「本草綱目」(李時珍、1590年)までも読む必要がないという人が多く、生薬学者も同じ考えをしていることは、まことに残念であります。

クロード・ベルナールが「実験医学序説」(1965年)の中で、古い伝統医学が長期にわたる病気治療の経験で明らかにした生薬の効果を否定せずに、それを利用しなければ新しい仕事ができないと言ったように、新しい目でこの分野を取り扱わなければなりません。

V.他の1コマは、漢方臨床並びに医薬情報で、漢方の周辺を学びます。

W.10月は、薬用植物観察会を東京都小平市にある東京都薬用植物園にて開催します。薬用植物を実際に見て学ぶ絶好のチャンスです。

X.特別講座「体質をかえる一貫堂の世界」伊藤晴夫先生(一般の方の参加費3,000円)

  2008210日 早稲田大学国際会議場 第一会議室

伊藤晴夫先生の紹介 薬剤師、日本漢方交流会・称号 範士、日本漢方交流会 財務部長・学術部副部長、東海漢方協議会理事(2003年・2004年 理事長)、草皇会事務局。

履歴:昭和49年東京理科大学薬学部卒業、卒業後10年間松波総合病院に勤める。昭和599月に漢方薬専門・八風堂薬局を開局、現在に至る。この間、昭和54年より太田裕康先生の紹介で東海漢方協議会に、昭和57年より太田順康先生に師事し草皇会に参加している。

Y. 日本漢方交流会一般公開特別講座(2007916日 共立薬科大学255教室、一般の方の参加費4,000円)、テーマは「初学者のための漢方運用講座」で岐阜薬科大学講師 太田順康先生の「陰陽・虚実・寒熱」、「婦人病」と日中医薬研究会 落合富雄先生の3題の予定。