日本漢方交流会ニュース

金  匱   23

編集  日本漢方交流会広報委員会

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特集・東 京 大 会 報 告

大会スローガン   『発展する漢方』
大 会 テ ー マ   漢方研究法の確立
(セラピーからメディスンへ)

日  時  平成14年11月23日(土・祝)、24日 (日)
場  所  共立薬科大学 255、B55教室ほか
(東京都港区芝公園1-5-30)

主  催  日 本 漢 方 交 流 会
開  催  東京漢方教育研究センター
後  援  共立薬科大学生涯学習センター
東 京 生 薬 協 会

東京大会について



大会会頭 長沢 元夫

第35回全国学術総会を二日間にわたり共立薬科大学の立派な施設を使用させていただき、11月24日の午後4時すぎに終了した時には本当にホッとしました。東京漢方教育研究センターの会員の方々が長い準備期間と2日にわたる大会の運営にかかわってくださったことにより成功することができたことを心より感謝申し上げます。同時に全国の交流会の方々が多数出席していただき、大会を盛り上げてくださいましたことを御礼申し上げます。
私の体験からしても中国で針麻酔による手術が公開された記事が新聞で報道された1972年以後は、漢方の研究をしていると言えば必ず好意的な反応が返ってくるようになったが、それ以前は軽蔑されるばかりでした。1947年に厚生省の東京衛生試験所に入所し、厚生技官として仕事をしている時に、職員の中にひどい偏頭痛に悩み病院に往っても治らない人から治療を頼まれ、桂枝加桂湯を使って一服で治したりしていたのに私を名前で呼ぶ人はなく「藪井さん」とか「竹庵先生」と呼ばれる有様でした。1957年9月の生薬学会の「漢方薬に関するシンポジウム」で「漢薬の新しい考え方」という題で私は明治期に行われたエフェドリン研究の例をあげて、漢方家が麻黄を治療に用いる時の経験を参考にしない時にはその鎮咳作用を証明できなかった事実をあげて、もし芍薬の成分を研究する時には漢方家が自信を持って鎮痛鎮痙作用が必要なときにそれを加味するのであるからそれを目標にして薬理実験をすべきであると論じたのであるが、シンポジウムが終了した後に行われたビールパーティーの時に朝比奈泰彦と刈米達夫という生薬成分研究の両大家から「今日の長沢君の発表のように非科学的なものは賛成できない。そのようなものが漢方薬の研究というならば、漢方の研究などする必要はない」と大勢の前で罵倒された。
こうゆう経験を持った私には今回の大会で特別講演として「漢方の新しい理解と展望」という題で菅谷英一先生が話された内容は正にその芍薬についてであったので人一倍に興味深いものでありました。相見三郎先生が柴胡桂枝湯加芍薬を用いてテンカンの治療をされたことを材料にして、芍薬の鎮痙作用がどの薬物よりもテンカン治療に役立つことを細胞病理学的に証明され、そのような研究方法を採用すれば理想的な医療体系を創造することができるとしてそれを「第三の医療」と称された。
それは私が基調講演の中でクロード・ベルナールが1865年に著わした「実験医学序説」の中で「実験医学(=近代医学)は観察医学(=伝統医学)を否定したり、また医薬の経験的使用を否定したりしてはいけない。それどころかそれらを必要なる立場として利用するのである」と書いていることを紹介して、このように漢方薬を利用する方向性を論じたことに一致しているので何とも言えない喜びでありました。
しかし今回の会員発表には議論が論理的に展開していないものがいくつかあり残念です。漢方を勉強する環境は以前とちがって大変良くなっているのですから会員の一層の勉強を期待したいと思います。

日本漢方交流会 東京大会にご出席の皆様へご挨拶



大会会長 川瀬 清

 本大会へご出席、有り難うございました。私たちの力量不足が真の原因なのですが、派手やかさを欠いた、実質的な内容になってしまいました。その上、全くの素人集団による企画運営で、種々至らぬ所があり、ご不満も多かったのではないかと案じております。
 しかし、国民が抱えている保険・医療・福祉問題の緊急性と、この総会が中間法人結成へ向け、念願の第一歩となり得たことに免じてお許し下さい。
 幸い特別講演などに人を得て、忘れがたい内容もあったと思います。
 現在の課題として、各研究会の向上そして広範囲に情報交換をすること、それから積極性のある若手の育成、医系大学に比べて伝統医学に対する関心の薄い薬科大学の教育改善など、数え上げれば限りがありません。これらに対し、例え小さくても、各地で可能な課題から取り組み、これを皆の成果にして行くことが必要なのではないでしょうか。そのために交流会の持つ意義は大きいと思われます。
 私どもは、この大会運営に結集するなかで、事態の認識を新たにし、活動の展望を得る事ができました。皆様とともに日本漢方交流会の発展に努力いたします。よろしくお願い致します。

日本漢方交流会 東京大会を終えて



大会実行委員長  朝長 孝子

第35回日本漢方交流会全国学術総会東京大会は平成14年11月23日・24日に共立薬科大学を会場とし「発展する漢方」を大会スローガンとして行われ多勢の皆様のご協力を得て盛会に終了することが出来ました。誠に有難うございました。
 二日間に渡り講師の諸先生方には時宣を得たすばらしい御講演をいただき、会員からも良い発表が聞かれ充実した大会であったと思います。
 この大会が漢方治療の発展に貢献出来ますことを祈り、又漢方生薬認定薬剤師の必須研修の場となり多勢の方が学ばれます事を願います。
 この日迄の一年間、役員一同一丸となり、初めての東京大会、初めての会場にそれぞれがイメージをふくらませ暗中模索、試行錯誤をくり返し役員会を集約してまいりました。何回も何回もプログラムが作り返されました。会が近づくにつれ予定通りに進めてきた筈の仕事が次々と新しく湧き出て前日迄大わらわでした。でも皆さんそれぞれの役割分担に忠実に良くがんばって下さいました。一人一人の努力は言葉につくせないものがあると思います。事務局の中川先生、それをささえた長谷川さん、大会誌作成の橋本先生、会場係りの白根先生、阪本先生、その他多勢の役員が総力をあげて準備を進めてまいりました。
 この団結は、会長長沢元夫先生への畏敬の念と副会長川瀬先生への信頼と東京漢方教育研究センターへの愛と誇りから生まれたものと思います。
 今回の大会準備の経験は努力した一人一人に強い自信となりこれからの仕事に大きな力となると思います。
 この度は御多忙の中、すばらしい御講演を下さいました講師の先生方、又、御参加下さいました皆様、そして東京大会にご協力下さり会を盛り立てて下さいました企業の皆様へ心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。

第35回日本漢方交流会全国学術総会東京大会報告



                        大会事務局長 中川智代

2002年11月23日、24日にわたる東京大会がやっと終了し、本当にほっとした。思い起こせば昨年の福山大会で、来年は東京で会いましょうの言葉を聞いたあと、今まで忙しさを理由にずっと避けてきたパソコンを、今度こそ勉強しなければ事務局は務まらないと決心しパソコン教室に通い出したところから東京大会はスタートした。
東京のスタッフは、私を含めほとんどが大会主催は初めてで、色々な方に相談しながらの準備だった。皆で、日程を決め、チラシや案内状を作り、講師を決め、会員発表を募り、協賛をお願いし、企業展示を募った。後半は、大会誌作成、参加案内送付、招待状送付、参加証作成等、時間との戦いだった。交流会の理事の先生からは貴重な助言や励ましの言葉をいただき、各研究会には快く色々と協力していただいた。当日は、東京のメンバーは、皆早めにきて本当に一生懸命やってくれた。何かと至らない点もあっと思うが無事終わる事が出来た。多くの人の努力と協力が得られて本当に有難いと思う。
講演6、会員発表12とたくさんの内容で、参加人数は、日本漢方交流会より152名、会員外43名、企業より49名、招待者14名、総計258名の結果であった。懇親会では、各研究会に出し物をお願いする形をとったので、壇上で皆様のお顔を拝見する事が出来、交流もより取れたと思う。一人一人の力は小さくても、多くの人が集まり団結すれば大きな事が出来る。日本漢方交流会もこの度より、任意団体から中間法人となり新たな出発を向かえる。ともに学び、協力し合い、社会のためになるような会に成長していきたい。

東京大会、誠にご協力有難うございました。心より感謝申し上げます。
来年、神戸で皆様とお会いできる日をたのしみにしております。

 =第35回日本漢方交流会学術総会「東京大会」の終了報告並びに、関係諸氏への御礼と来年第36回学術総会開催のご協力のお願い=


日本漢方交流会理事長  真鍋 立夫

平成14年度の日本漢方交流会全国学術総会『東京大会』は関係諸氏のご努力により見事盛会裡に終りました。東京漢方教育研究センターの先生方は長沢会長先生をトップに朝長実行委員長、中川事務局長、石原先生と大変チームワークよろしく頑張っておられました。本当にご苦労さまでございました。漢方交流会の第35回『全国学術総会』とはなっていますが、この度の大会にしましても、東京漢方教育研究センターの皆様の協力が無くては、成し遂げられませんでした。これからも、漢方交流会と賛助研究団体の各地漢方研究会の先生方との、組織同士の交流と連携は、交流会の重要な事業である全国学術総会を開催してゆくにあたっても非常に大切になります。
基本的に交流会は各地に支部としての傘下団体を組織しているわけでは無く、各地の交流会の賛助団体である漢方研究会は、それぞれ独自にアイデンティティとビジョンをもって運営されています。漢方交流会の全国学術総会は大変重要な中心的事業なのですが、なかなか交流会が独自に開催するのには困難なものがあります。まだまだ交流会の賛助研究会が全国に均等に組織されているわけでも無く、各県に日本東洋医学会のように支部が組織されているわけでもありません。全国大会を開催するのには相当なエネルギーがいりますので、日本東洋医学会であってさえも、そうそう簡単にはどこの県ででも簡単に開催の運びに至ると言うことは考えられません。それらを考えてみますと、この度の東京漢方教育研究センターの先生方におかれましては、本当によくやって下さったと心から感謝申し上げる次第です。
来年は全国大会を引き受けて下さる研究会がちょうどエアーポケットのように無くなってしまっていて、どこの研究会も開催する準備が整わないということでございました。そこで急遽神戸の中井先生に窓口になって頂いて、神戸で開催すると言うことになりましたが、基本的には交流会の本部が実行開催しなければならないということになりました。あくまでも中井先生は地元で窓口になっていただくということで、運営から実行計画まですべて交流会の理事会で分担して行わなければなりません。このようなことはこの度が初めてではありませんが、今まで同様のケースで大会開催にむけての仕事の分担が、理事間で必ずしも巧くいっていたとは考えられない反省点が多々あります。一人二人の先生に全ての仕事が片寄ってしまい、理事会全体でバランス良く運営されないで、何人かの理事に非常に迷惑をかけてしまい上手くことが運ばなかった経験があります。
この度の神戸で行われる『第36回日本漢方交流会全国学術総会』は、法人の設立後第1回目の大事な節目の学会に当たるということも考えに入れて、交流会の理事全員及び交流会の会員の先生方におかれましても、是非積極的なご協力と仕事の分担、また学会での発表及び参加という形での御協力を切にお頼みする次第です。
現在漢方交流会の法人化のための手続きは着々と進んでいますが、任意団体の時の交流会の雑務の整理もあり事務煩雑です。まだ総会が終った後の新しい理事による理事会も開かれていませんが、これから行われる法人の法務局への登記がすんだ時点で第1回の新生漢方交流会の理事会を開催して、新規事業の実際的スタートとなります。まだ新しい法人の漢方交流会への入会手続きのすんで無い会員諸氏は、早めに所定の『入会申込書』にて会員の登録をして下さるよう重ねてお願い致します。

広報担当からのお知らせ
●日本漢方交流会ホームページに会員専用のページを作成しております。
とりあえず理事会の報告などをこのページでさせていただきます。
平成14年12月編集